6月1日の抗加齢医学会専門医試験に向けてのお勉強を今日も続けています。
今回は今年の受験対策用講義を受けたので、そのポイントのまとめです!
2024年2月4日開催:日本抗加齢医学会研修講習会(基礎・受験編)
「高齢不妊とアンチエイジング」
・高齢不妊と卵巣機能不全
・高度生殖医療(ART)の保険適応は43歳まで
・加齢により卵胞数の減少と卵子/胚の質の低下が同時に起こる。
・卵巣機能不全の不妊治療:卵胞活性化療法
「高齢者疾患・フレイルの特性」
★フレイルの定義や評価方法、治療法について出題予定
・基本的ADL評価:Barthel Index(BI)とは、日常生活動作(ADL)を評価するための指標で、食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、更衣、排便コントロール、排尿コントロールの10項目で構成されています。各項目を自立度に応じて採点し、評価します。
・手段的ADL(IADL)の評価:Lawton & Brody の評価尺度は電話の使用,買い物, 食事の準備,掃除,洗濯,公共機関などの利用による移動,服薬管理,財産管理の 8 項目からなり,男性はそのうち食事の準備,掃除,洗 濯を除く 5 項目で評価する.
・フレイルとは高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する胎弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡等の転帰に陥りやすい状態
・フレイルの評価方法(改訂J-CHS基準)→下記3つ以上当てはまればフレイル
体重減少:6か月で、2kg以上の(意図しない)体重減少
筋力低下:握力が男性<28kg、女性<18kg
疲労感:(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
歩行速度:通常歩行速度<1.0m/秒
身体活動:① 軽い運動・体操をしていますか?:② 定期的な運動・スポーツをしていますか?上記の2つのいずれも「週に1回もしていない」と回答
・サルコペニアの予防:タンパク質1.0g/kg以上の摂取、運動、薬物(vitD、性ホルモンと、漢方など)
「NAD代謝とアンチエイジング」
Take Home Message
・NAD+レベルはマウスやヒトにおいてさまざまな組織で加齢により低下にする
・NAD+レベルの低下は、生理的老化や老化関連疾患の発症と関連する
・動物実験ではNRやNMNなどのNAD前駆体による著明な抗老化作用が認められる
・ヒトではNAD前駆体投与によりNAD+レベルの上昇は見られるがその効果について更なる検証が望まれる
・NAD=にコチンアミド アデニン ジヌクレオチド。様々な酸化還元反応を媒介する補酵素。ミトコンドリアが細胞全体の半分以上のNADを保持している。
・NAD+はエネルギー代謝にて重要な役割を果たす。解糖系やTCA回路でNADが活躍。
・NAD+は脱アセチル化酵素Sirtuinの器質として重要である。SirtuinはNAD+を介して栄養状態を感知し老化を制御する。
・NAD+は、DNAを修復する酵素であるPARPsの基質として使用される。
「アイフレイルと加齢性眼疾患」
Take Home Message
・アイフレイルとは、加齢の上に、内的・外的ストレスが加わり、目の機能が低下した状態、また、そのリスクが高い状態。
・網膜の生理的老化について、画像解析や遺伝子発現の研究が進み、遺伝子や環境因子の影響が明らかにされつつある。
・加齢黄斑変性のリスク因子には、たばこ、メタボリックシンドローム、高血圧、動脈硬化、光暴露、遺伝子多型などが知られる。
・酸化ストレスに対する介入には、生活環境の改善のほか、抗酸化作用を目的とした食品因子・運動などがある
・日本の失明原因の約40%は網膜疾患
・生理的状態でも網膜の神経細胞・シナプス・軸索などは加齢とともに減少し、網膜機能・視機能は加齢とともに低下する。さらに相対的高眼圧などの病的ストレスがかかると緑内障が発症・進行する。
・生理的状態でも網膜色素上皮(RPE)〜ブルッフ膜部分の結合組織は菲薄化する。そこに病的ストレスがかかると加齢黄斑変性症(AMD)になる。
・滲出型AMDに対しうる抗VEGF療法(硝子体内注射)
・酸化ストレスへの介入
①活性酸素種 =Reactive oxygen species (ROS)を(直接)消去してくれる抗酸化物質:ビタミンC/E、ルテイン・ゼアキサンチン、アスタキサンチン、レスベラトロール、ブルーベリー、DHA/EPA、ケルセチン、フィコシアニン、コエンザイムQ
②酸化ストレスを間接的に減少させてくれる物質:コエンザイムQ(酸化物と反応したビタミンC/Eを還元、ミトコンドリアのsuperoxide dismutase2の作用をサポート)、NMN(NADに変換されてミトコンドリアの働きをサポート、長寿遺伝子Sirtuinsの働きをサポート)
「心臓のアンチエイジング」
Take-home Message
・健康長寿のためには、心臓を若々しく保つことが大切です。
・従来の臨床指標に加えて、AIを使った心臓年齢(Cardiac age)の推定が試みられています。
・心不全パンデミックが進む中、高血圧症や糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防や、減塩・運動・禁煙・睡眠などライフスタイルの向上、ストレスのない生活環境の実践が、心臓のアンチエイジングのために求められています
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