日本抗加齢医学会研修講習会（基礎・受験編）2024/3/24開催分試験情報まとめ

６月1日の抗加齢医学会専門医試験に向けてのお勉強を今日も続けています。
今回は今年の受験対策用ビデオ講義を受けたので、そのポイントのまとめです！

2024年3月24日開催：日本抗加齢医学会研修講習会（基礎・受験編）
「咀嚼機能と脳機能のアンチエイジング」
★配布していない追加資料（以下5個）から出題予定。
★口腔機能低下症は以下の7項目中3項目以上該当するものを指す。
　口腔不潔、口腔乾燥、咬合力低下、舌口唇運動機能低下、低舌圧、咀嚼機能低下、嚥下機能低下
★歯周病とは：歯垢（プラーク）中の細菌によって歯肉に炎症を引き起こし、やがては歯を支えている歯槽骨が吸収される疾患。
　歯肉炎：病気が歯肉に限局
　辺縁性歯周炎：歯槽骨の吸収を伴う。
★歯周病の関連因子：慢性炎症性疾患、生活習慣病、細菌感染症
★歯周病の症状：歯肉腫脹、歯肉出血、歯肉退縮、歯槽骨吸収、歯の移動、口臭
★歯周病は全身疾患と相互に関わっている。例）糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中、肥満、骨粗鬆症、アルツハイマー病、早産、低体重児出産
★慢性歯周炎（成人性歯周炎）に関わる最近はRed Complex。例）のPorphromonas gingivalis(P.g）、Tannerella forsythia(T.d）、Treponema denticola(T.d.）

・歯（特に奥歯）がないと認知症が進行する。
・やわらかいものしか食べないと認知症が進行する。
・カプサイシンを摂取すると脳神経細胞の減少と神経炎症が抑制され、脳の老化を抑制する。

「内分泌細胞としての血管内皮細胞」
★血管内皮細胞由来のNO（一酸化窒素）はshear stressやアセチルコリン、反応性充血の刺激を血管内皮細胞の受容体が受け取ることでL-arginineより生成される。NOはcGMPを増加させcGMP-dependent protein kinaseを活性化させることで、抗動脈硬化作用（血管拡張、細胞増殖抑制、白血球遊走抑制、血小板接着・凝集抑制）

「眼から見たアンチエイジング〜アイフレイルの予防〜」
・日本人の中途失明者の原因疾患：緑内障が40%、黄斑変性が9.1%を占め増大傾向。
★アイフレイルとは：加齢に伴って眼が衰え、さらに様々な外的ストレスが加わることによって眼の機能が低下した状態。
・アイフレイルは他のフレイルを進行させる。
・アイフレイルは最初は無症状であることが多い。
・アイフレイルはセルフチェックが可能。
・本邦では正常眼圧緑内障が多い。
・緑内障にはアントシアニンが進行予防サプリとして効果的。
・加齢黄斑変性にはルテインとゼアキサンチンが効く。

「遺伝子とアンチエイジング」
★長寿への遺伝要因は20〜30%であり、のこり70~80%は環境要因。
★人種を超えて寿命に関わると判明している遺伝子はAPOEとFOXO3
★日本の百寿者ではAPOE4が少なく、APOE2が多い。
★テロメアを長く保つ行動と健康寿命に重要なことは重なっている。例）ストレスを減らし、適度な運動を行う。
・活発な発現を認める遺伝子のプロモーター領域ではDNAメチル化は認められず、ヒストンはアセチル化されている。
・DNAメチル化阻害薬やヒストン脱アセチル化酵素阻害薬などの薬剤によりエピジェネティクス変化は可逆的である。DNAメチル化阻害剤の例はazacitidine（骨髄異形成症候群および急性骨髄性白血病の治療薬）、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬の例はvorinostat（皮膚T細胞リンパ腫の治療薬）である。
・カロリー制限やラパマイシンはDNA損傷修復を促進する。

「老化と腎臓」
★eGFRが過大評価する時：小柄、痩せ型、四肢欠損。
★上記のような場合、eGFRの体重補正を外す係数をかけると正しい値になる。
★加齢に伴って糸球体数は約6割に低下。しかし、１糸球体あたりの機能は年齢によって低下しない。
★AKI診断のピットフォール
　①sCrで軽度腎機能低下が捉えにくい症例がある：筋肉量の少ない高齢者、敗血症、体液過剰
　②sCr基礎値がわからないこともある
　③測定間隔に依存する