抗加齢医学会専門医試験 対策問題集解説(その1)

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現在、6月1日開催の抗加齢医学会 専門医試験受験に向けて勉強しています。
試験対策用の公式問題集があり、問題集で自分が間違えた問題や大切だと思うところをピックアップしてオリジナルの解説を作っています。
鋭意制作中でして、せっかくなのでその前半部分を公開します!
試験対策はもちろん、すべての人に関係があるアンチエイジングについての現時点で医学的に最も正しい情報なので興味がある方は御覧ください😊

Q1-3:
・ICD11で老化関連疾患という概念が追加された。
・日本では医療広告に「アンチエイジング」という単語を使用できるようになった。2018年12月から科学的根拠に基づく表示が伴うものはOK
Q1-6:
・要介護2未満は健康寿命の範囲内。
・健康寿命は「日常生活に制限がない時間」や「自分が健康であると自覚している期間」のことを指す。
Q2-2:
・テロメラーゼはテロメアを伸長させて、細胞老化を防ぐ。
Q2-4:
・ミトコンドリアはミトコンドリアDNAを合成するが、核DNAは合成しない。核DNAは細胞核で合成される。
・ミトコンドリアはTCA回路、酸化的リン酸化反応、アミノ酸代謝、脂肪酸のβ酸化、ケトン体合成などが行われ、エネルギー代謝の中枢を担う。副産物として活性酸素が産生される。
・グルコースの代謝は3つ。解糖系は細胞質で行われる。クエン酸回路、電子伝達系(酸化的リン酸化)はミトコンドリアにある。
・脂肪酸の合成は細胞質で行われ、脂肪酸の分解(β酸化)はミトコンドリアのマトリックスで行われる。
・ケトン体は飢餓時に脂肪酸がβ酸化されてアセチルCoAを経由して産生される。平時ならβ酸化してできたアセチルCoAはTCA回路を回すが、飢餓で糖新生が亢進することで、TCA回路の重要な成分(オキサロ酢酸)が枯渇してしまうため、TCA回路が回らない。こうして、肝臓で飢餓時に産生されたケトン体は脳などの肝外組織に運ばれて、届き先でケトン体からアセチルCoAに戻って各臓器でTCA回路を回してエネルギー産生を行う。
・糖尿病患者におけるケトアシドーシスは、インスリンがうまく機能していないため糖代謝がうまくできず、ケトン体から変換したアセチルCoAがいくらあっても、TCA回路を回すのに必要なオキサロ酢酸が足りないため、アセチルCoAの代謝ができず、ケトン体が血中で増えてしまう状態。
Q2-7:
・アポリポタンパクE4はアルツハイマー病のリスク遺伝子に加え、虚弱遺伝子(長寿者には少ない遺伝子)と言われる。長寿者ではアポリポプロテインE2やE3が多い。
・FOXO(フォクソ)は、Forkhead box Oの略称で、飢餓ストレス応答因子です。インシュリン受容体の下流で制御され、主に飢餓応答時に活性化される転写因子。
Q2-15:
・カロリー制限研究により低体温、低インスリン、高DHEA-s血症が長寿のバイオマーカーであることが示されている。
Q2-16:
・ヒトゲノムの塩基配列数は30億塩基対x2
・ヒトゲノムの約0.1%に多様性がある。
Q3-1:
・細胞障害性Tリンパ球はウィルス感染細胞に対してパーフォリンやグランザイムを含む細胞傷害顆粒を放出する。
・Tリンパ球はその受容体によって、MHC分子とタンパク質分解によって生じたオリゴペプチドとの複合体を認識する。
Q4-1:
カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼは代表的な抗酸化酵素。カタラーゼは過酸化水素を分解する。スーパーオキシドジスムターゼはスーパーオキシドを分解する。グルタチオンペルオキシダーゼはグルタチオンの存在下で過酸化水素を還元する。
Q5-9:
・ケトン体代謝物であるアセトールからAGEs構造のひとつであるカルボキシエチルリジン(CEL)が生成される。
・AGEsを認識する受容体はRAGE
・食品中AGEsはメラノイジンともいわれ、抗酸化能を有する。つまり、身体に良いAGEs。
・カルボキシメチルリジン(CML)はアマドリ転位物の酸化反応から生成される。
・AGEsとは、食事などで過剰に摂取した糖が体内のタンパク質と結びつくことで体内に生成される老化物質です。摂取することよりも身体で生成されるものの方がより問題。食事中のAGEsは良いものも悪いものもある。
Q6-4:
・IGF-1は肝臓で作られる。成長ホルモンと栄養状態によって調整されており、栄養状態が悪いと低下する。
・IGF-1は多すぎても少なすぎても予後が悪い。IGF-1シグナルが低下すると、マウス以下の生物では寿命延長が認められる。
・IGF-1はFOXO1をよくせいする。
Q6-6:
・旧口動物である線虫や昆虫では、多くのインスリン用ペプチドが脳・神経系で生産され、生体の置かれている状況を生体全体に伝える。
・魚類において、インスリンは血中アミノ酸を低下させるホルモンであり、血中グルコース濃度に関係ない。
・線虫からラットに至るまで、インスリン様活性の低下は寿命の延伸を引き起こす。ただし極端に低いと短命になる。ヒトの場合、成長ホルモン不全症の患者は短命であり、インスリン活性が低下すると糖尿病に陥る。末端肥大症ではIGFが高く、これもまた短命。(がんや動脈硬化の合併リスク高い)
・栄養失調のときは成長ホルモンよりアミノ酸の方がIGF-1の産生・分泌の促進活性が強い。
Q6-8
・DHEAは血中では硫酸塩として多く存在する。
Q7-2:
・カルシウム摂取上限量は2500mg
Q7-6:
・リコピンはトマトやスイカに含まれる。
・ルテインはほうれん草やケールなどの緑葉野菜に含まれる
・赤ピーマンには赤色色素であるカプサイシンが含まれる。
・レスベラトロールは黒ブドウの皮やピーナッツの渋皮に含まれる。
・β-クリプトキサチンは温州みかんなどの柑橘類に多く含まれる。
・アスタキサンチンは鮭の切身に含まれる。
Q7-8:
・ビタミンCの抗酸化力(還元力)は化学構造のエンジオール基に起因する。
・G6PD欠損症は高用量ビタミンC点滴投与の禁忌である。
・ビタミンCの推奨量は100mg/day
Q7-23,24:
・保健機能食品には特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品の3種類がある。トクホは消費者庁への申請と個別審査による認可が必要だが、機能性表示食品は消費者庁への届け出のみで良い。栄養機能食品はただ含まれている良い成分を記載できるだけ。
・トクホの例は特茶、機能性表示食品の例は「GABAチョコ」、栄養機能食品の例はリポビタンD(タウリン1000mg配合!的なやつ)
・機能性表示食品であっても、ヒト臨床試験が必須である。

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