褥瘡治療の外用薬とドレッシング材(創傷被覆材)

仕事

引き続き褥瘡治療について。
今回は「褥瘡診療ガイドライン(第 3 版)」と日本褥瘡学会のHPを元に情報収集しました。
ガイドラインは無料で公開されているのでご興味のある方は以下のURLをご確認ください。
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zyokusou2023.pdf

今回は折角なので勉強したことの「まとめ」です。
まず、出てくるドレッシング材の商品名を知らないと現場で使えないので、それを一覧にしました。
※自分が使いそうな商品名だけリストアップしているので、すべての商品を記載しておりません。

[ドレッシング材]
・ポリウレタンフィルム(透明な薄い粘着フィルム):テガダーム(パッドなし)
・パッド付きフィルム(大きな絆創膏みたいなかんじ):ガーゼ付きオプサイト、パッド付きテガダーム、メピレックスボーダー
・ハイドロコロイド(傷パワーパッド的なやつ):デュオアクティブ、テガダーム ハイドロコロイド
・ポリウレタンフォーム(厚手でぷにぷにのやつ):メピレックス、ハイドロサイト
・銀入りソフトシリコン・ポリウレタンフォーム(殺菌作用あり):メピレックスAg
・熱傷などでつかう撥水性の被覆材:メロリン
・アルギン酸塩(昆布の成分で止血できる素材):アルゴダーム

以下、ガイドラインの引用(だいぶ短縮しているバージョン)です。

急性期褥瘡の治療(解説 3)  
急性期の褥瘡に対しては、局所の減圧を行いながら, 患部が観察できるようポリウレタンフィルム,半透明 のハイドロコロイドドレッシングを貼付し,経過観察。
外用薬を使用する場合には,創面保護 の目的で白色ワセリン,酸化亜鉛,ジメチルイソプロピルアズレン(商品名:アズノール)などの油脂性基剤軟膏が,また,感染予防の目的でスルファジアジン銀(商品名:ゲーベン)を使用する。

浅い褥瘡の治療(解説 4)  
ステージ II までの浅い褥瘡(びらん,浅い潰瘍)に対するドレッシング材としてはハイドロコロイド,ハイドロジェル,ポリウレタンフォーム,キチンが,外用薬としては,創面保護の目的で白色ワセリン, 酸化亜鉛,ジメチルイソプロピルアズレン(商品名:アズノール)などの油脂性基剤軟膏,短期間の使用であれば抗生物質(抗菌薬) 含有軟膏,ブクラデシンナトリウム(商品名:アクトシン),プロスタグランジン E1(商品名:アスプロスタジル)などの肉芽形成促進薬が薦められる.
感染がなく上皮形成過程にある浅い褥瘡に対しては,ポリウレタンフィルムを使用しても良い.

深い褥瘡の治療(CQ1~4,解説 5)  
深い褥瘡の治療について,前半(黒色期,黄色期) は TIME コンセプトによる wound bed preparation を,後半(赤色期,白色期)は moist wound healing を治療コンセプトとする.
まず,TIME の T(壊死組織の除去)のために壊死組織の外科的デブリードマンを行う(CQ1).何らかの理由で外科的デブリードマンが行えない場合には,外 用薬としてはカデキソマー・ヨウ素(カデックス),スルファジアジン銀(ゲーベン),デキストラノマー,ブロメラインヨードホルム の使用が,ドレッシング材としてはハイドロジェルの使用が薦められる.(現場ではあまりハイドロジェルを乗せるイメージはない。ガーゼを乗せてフィルムを貼っているイメージ。)
TIME の I(感染や炎症)の診断は創部をよく観察しましょう。一時的に抗菌薬の投与(内服・点滴)も検討。デブリードマンや上記外用薬による殺菌も併用する。ドレッシング材としては,銀含有親水性ファイバー,銀含有ポリウレタンフォームが使用できる(解説 5.4).壊死組織が概ね除去されたら,肉芽組織の形成,上皮化を促す外用薬,ドレッシング材を使用する.
滲出液の多寡(TIME の M)によっ て使用する外用薬(CQ2),ドレッシング材(CQ3)を調節する.陰圧閉鎖療法も有効な治療である(CQ4).
ポケットを形成している場合(TIME の E)はポビドン ヨード・シュガー,トレチノイントコフェリル(商品名:オルセノン軟膏),ポビドンヨード・シュガーを使用し(解説 5.5),改善しない場合はポケット切開を考慮する(解説 5.6).

最後に、外用薬が色々出てきたので「外用薬の薬効についてのまとめ」。
外用薬の薬効については,大まかに抗菌作用と細胞増殖作用が挙げられる.
炎症/感染制御が目的ならばカデキソマー・ヨウ素(商品名:カデックス),スルファジアジン銀(商品名:ゲーベン),ポビドンヨードゲル,ポビドンヨード・シュガー,ヨウ素軟膏, ヨードホルムなどが選択肢に挙がる.
赤色期や白色期においては肉芽形成促進作用を有するトラフェルミ ン(商品名:フィブラストスプレー),トレチノイントコフェリル(商品名:オルセノン軟膏),ブクラデシンナトリ ウム(商品名:アクトシン軟膏),プロスタグランジン E1 (商品名:アスプロスタジル)などが選択肢に挙がる.

[ステージ III 以上の黒色期~黄色期褥瘡に対する外用薬の選択]
・壊死組織が付着する褥瘡:カデキソマー・ヨウ素,デキストラノマー,ブロメライン,ヨードホルムから選択する.乾燥した壊死組 織に対してはスルファジアジン銀を選択する.
・炎症・感染を生じている褥瘡:カデキソマー・ヨウ素,スルファジアジン銀,ポビ ドンヨード・シュガー,ポビドンヨードゲル,ヨウ素軟膏,ヨードホルムから選択する.感染兆候を認める場合には抗生物質の全身投与を要する.
・滲出液が過剰な場合はカデキソマー・ヨウ素,デキ ストラノマー,ポビドンヨード・シュガー,ヨウ素軟膏から選択する.滲出液が少ない場合は酸化亜鉛,ジメチルイソプロピルアズレンスルファジアジン銀,白色ワセリンなどの油脂性軟膏から選択する.
・ポケットのある褥瘡:ポケット切開や陰圧閉鎖療法が考慮されるべきであるが,外用薬を使用するなら,滲出液の多い創面であればポビドンヨード・シュガーを,滲出液が少なけれ ばトラフェルミン,トレチノイントコフェリルから選 択する.  

[ステージ III 以上の赤色期~白色期]
・滲出液が少ない~適正な創面には酸化亜鉛,ジメチルイソプロピルアズレン,トラフェルミン,白色ワセリン,プロスタグランジン E1,などの油脂性軟膏を, 滲出液が少ない創面にはトレチノイントコフェリルを,滲出液が過剰または浮腫が強い創面にはブクラデシンナトリウムを選択する.

今回はしっかりお勉強コーナーでした!
ではまた。

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